美術家の冨井大裕氏と建築家の中村竜治氏を迎え、第1回のトークセッションが開催された。「彫刻的な枠に捕われない彫刻の概念を探しつつ彫刻をつくっている冨井さんと、強い建築ではなく繊細な空間のリアリティを探そうとしている中村さん。そんな二人なら『SUBTLE』というテーマにぴたりと応えてくれると考えた」と、同展ディレクターの原研哉氏が両氏を紹介。
冨井氏は「すぐに傷んで取り返しがつかなくなる紙の宿命を表現しようと考えた。その緊張感を象徴的に考えた結果、角だけが残った」と語り、中村氏は「曖昧さが特徴である紙のディテールを緻密にコントロールすると紙らしさは消えるのか、消えないのか。今回の作品はそれを知るための実験だった」と述べた。
最後は原氏が「冨井さんも中村さんも、微妙かつ独創的な着想を現実の作品としてしたたかに定着させる力がある。そこに同時代的なものを感じる」と語り、活動領域の異なる同世代の両氏の共通点が浮かび上がる対談となった。